このたび、2025年のIFA会長に就任いたしましたことを、大変光栄に感じるとともに、皆さまに心よりご挨拶申し上げます。この重要な役割を担うことができ、大きな誇りを感じております。また、IFAの40年にわたる歴史の中で、過去の会長の皆さまが築かれた素晴らしい遺産に深く敬意を表します。皆さまの献身により強固な基盤が築かれており、私は当組織の高い基準と誠実さを守り続けることをお約束いたします。

1985年にIFAが設立された際、創設メンバーの皆さまが、その先40年間にわたりアロマセラピーが医療にどれほど大きな影響を与えるかを予想する事は容易ではありませんでした。IFAとその献身的なメンバーの不断の努力により、アロマセラピーは健康とウェルビーイングのさまざまな分野に良い影響を与えてきました。

IFAが行う先駆的な研究活動や、ストレス軽減、うつ症状、不安へのエッセンシャルオイルの有効性を示す取り組みを見るたびに、心から感動します。このような研究への継続的な取り組みこそが、アロマセラピーの専門性を高め、緩和ケアやメンタルヘルス、疼痛管理などあらゆる医療現場での普及を確実にする鍵です。

今年、IFAは設立40周年を迎え、世界中にアロマセラピーを広めるとともに、専門的なトレーニングの最高水準を確立・維持してきました。この基盤の上に、私たちはアロマセラピーの未来を築いていかなければなりません。国際的な組織として、私たちは世界とつながり続ける必要があります。グローバルなデータは、今日の社会においてメンタルヘルスが最も重要な公衆衛生上の課題の一つであることを示しています。この現実は、私たちプロのアロマセラピストにとって、重大な責任であると同時に、前例のない機会でもあります。

今こそ、世界は思いやりとケアを必要としています。そして私たちは、それを提供できる独自の立場にあります。 精油は自然からの贈り物であり、効果的に用いるには、IFAが提供する厳格な専門教育と基準によって培われる独自の専門技能が必要です。

私自身の最近の研究・経験から、皆さまと共有したい強力な比喩があります。それは、アロマセラピストとしての私たちの役割を「金継ぎセラピスト」に例えるものです。金継ぎは、日本の伝統技法で、割れた陶器を金で修復し、その修復跡を隠さずに美として際立たせます。この哲学は、感情の傷を否定せず、受け入れることを教えてくれます。精油は、私たちの「黄金の漆」として、安全で対立のない空間を提供し、個人が深い感情に向き合うことを可能にします。この知恵を私たちの実践に取り入れることで、精油 は個人が自らの生きがい（Ikigai）を見出したり、金継ぎのように強くしなやかに再生する手助けとなります。私たちは、割れた欠片を丁寧に繋ぎ、経験を経てより強く、賢く、美しい個人へと導きます。

私たちの特別なスキルが認められるよう、プロフェッショナルアロマセラピーの価値を自信を持って発信することが不可欠です。高い基準を守り、精油 の持つ深い効果について正直に伝え、金継ぎのような他文化の知恵と技能を取り入れることで、私たちの実践をさらに豊かにしていく責任があります。

この素晴らしい組織の一員である皆さまに、心より感謝申し上げます。IFAが今後もアロマセラピーを尊敬される医療専門職として発展させるために、素晴らしい委員会メンバーや献身的な皆さまと共に活動できることに、大きな喜びと意欲を感じています。次の40年も、一つひとつの「黄金の修復」を通じて、人々の生活を変えていきましょう。

どうぞご自愛ください。皆さまとお会いできる日を楽しみにしております。

敬具
サルヴァトーレ・バッタリア
国際アロマセラピスト連盟（IFA）会長