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エッセンシャルオイルガイドラインの適切な適用
IFA東京セミナーレポート(2018年9月)
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IFA研究試験 健康な成人におけるエッセンシャルオイルの香り、主観的ストレス、日中のコルチゾール分泌: 単盲検プラセボ対照クロスオーバー試験
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エッセンシャルオイルガイドラインの適切な適用
まず、精油という言葉の「油」という文字がそもそもの誤解を招いている。精油はある物質の特徴的な香りを移したもの、また植物のエキスが入ったものという趣旨で「エッセンシャル(オイル」」と呼ばれる(European Chemical Agency 2017)。「油」という文字は水の中での反応が「油のようだから」ということで、一般的に精油は水と結合したり、水に溶けたりしない。(ただし、一部水と「仲良し」の物質も存在し、これがハーブウォーターや蒸留液の由来となる。しかし大半はそうならない)精油はほとんど水よりも軽いため、水の表面に浮く。もしくは水よりも重く、密度の高いものもあり、そのような精油は水の下に沈む(例: ベチバー、ミルラ等)
精油は葉、小枝、つぼみ、花、果実、種、幹、根など植物の様々な部位から得られた非常に凝縮された抽出物だ。例えば:
- 1kgのバラの精油を生成するのに2,500kgから4,000kgものバラの花びらが使われる
- 15mlのラベンダー精油を作るのに1.4kgの新鮮なラベンダーが使われる
- 1滴の精油は15-40杯のハーブティーもしくは小さじ10杯分のチンキ剤と同等の効能がある(Krumbeck 2014)
- 1滴のペパーミント精油は26杯のペパーミントティーと同じ効能がある
だからこそ精油は注意をもって慎重に検討され、節度をもって使用されなければならない。
肌への塗布について、精油そのものは肌を柔らかくする効能はなく、もちろん「オイルのような」質感を持つものではない。精油は潤滑油ではなく、脂っこさもなく、バリアとしても機能しない。だからこそ、精油は必ずそれを乳化するための基材に配合されなければならない。お風呂で利用する際(水そのものは皮膚を非常に乾燥させ、炎症を悪化させる)そのまま水に入れることは絶対にするべきではなく、またそのまま服用することは事実上生で食べていることに等しいため避けねばならない。(水は胃や他の消化器系臓器の粘膜組織を保護することはできない。)
注:専門の教育を受けた医療従事者や薬剤師、認可を持ったハーブ専門家から内服用に処方されたものに限って精油の経口摂取もしくは肛門からの挿入ができる。この場合精油は必ず乳化剤、例えば植物由来(ヒポロメローズ)またはゼラチン(動物の皮膚や骨からのコラーゲン)のカプセル(前者が望ましい)に入った状態でで、常にコンサルティングを受けながら利用してはじめてコントロールされた、安全で正しい服用となる。
精油は高い揮発性を持っており、皮膚や周辺環境の水分と結合し、速いスピードで蒸発していく。皮膚に直接塗布してもすぐに乾燥して、炎症や過敏症の原因になることもあるので、必ず適切な乳化剤となる基材を使って体に塗布する必要がある。基材には例えば植物オイル、クリーム、ローション、軟膏、ジェルなどがある。特定の精油の分子は皮膚のタンパク質と結合し、アレルギー反応を引き起こす可能性がある。(そのまま塗布しても基材を使って適切に塗布した場合も同じ)
しかし、ティーツリーとラベンダーについては、虫刺されや、軽いやけど、吹き出物の応急処置として肌のほんの一部に応急処置として直接塗布することも可能だ。ただし継続して長期の利用は勧められない。これらの精油は例外ではあるものの、使い過ぎは同じように皮膚の炎症を引き起こす可能性がある。
精油は疑いの余地なく、処方もしくは医療従事者や薬剤師、研修を受けて正規の認定をされたハーバリストから許可された場合以外は内服すべきではない。それ以外のいかなる場合においても、精油の経口摂取をお勧めしない。
経口摂取
経口摂取については数えきれないほどの注意して考慮すべき要素がある。経口摂取された精油は100%が消化器系の臓器に吸収されているようだ。(経皮吸収の場合、上皮が半ばバリアのような役割を果たすため、状況が異なる)このため服用すると非常に効果が明らかだ。精油は深刻な粘膜の炎症を引き起こす可能性があり、絶対に直に服用してはならない。
精油はかなり早く代謝され、体外に排出されるものとはいえ、腎臓や肝臓へのダメージや消化器系のその他の臓器内部の炎症を引き起こす可能性が高い。一部の精油は毒になる。
また同時期に服用している処方薬と精油成分との間で好ましくない化学反応が起こり、炎症を悪化させたり、新たな症状を引き起こす要因になる可能性もある。例えばスイートバーチもしくはウィンターグリーンの精油はワーファリンといった抗凝固材を服用している場合、危険なまでに抗凝血作用を増幅させワーファリンで薄められた血液をさらに薄めることになるため、絶対に摂取してはならない。その他の例ではTisserand and Young(2014 p58)がカモミールジャーマン(ブルー)とサイプレス(ブルー)ジャスミンアブソリュートとサンダルウッド(オーストラリア産・ラテンネーム不明)精油がイミプラミンやアミトリプチリンといった三環系抗うつ剤もしくはコデインのような鎮痛剤とは薬物の効果を増進させる上にCYPIA2、CYP2C9、CYP2D6、CYP3A4基質を増幅させるため、両立しないよう警鐘を鳴らしている。(バルサムポプラ、カモミールブルー、セージ、ヤローの吸入や上皮への塗布もCYP2D6基質の薬物の効果を増進させる)
皮膚の反応
精油が皮膚に引き起こす反応として以下の3つが挙げられる。
- かゆみ
- 感作
- 光毒性
かゆみ
かゆみは特定の部位に限って発生し、皮膚や粘膜組織に影響を与える。呼吸器系は特に精油の作用で炎症もしくは非炎症性のかゆみが出やすい(乾燥、焼けるような感覚、刺すような痛み、ひりひりする痛み、チクチクする痛みといった症状になって現れる)。一部の精油はのどの痛みや気管支炎などを改善するのに有効だが、吸引する場合は低濃度で短時間の使用にとどめ、呼吸器系の炎症の発生を避けるべきだ。フェノール系やアルデヒド系は最も炎症を起こしやすい精油成分だ。例:オイゲノール(バジル、シナモン樹皮、クローブ)、チモール(バジル、タイム)、カバクロール(タイム、オレガノ、キダチハッカ)、ケイ皮アルデヒド(シナモン葉)
感作
感作は「敏感肌」とは異なる。感作は接触による過敏反応とアレルギー反応が同時もしくはいずれかが免疫システム(T細胞、マクロファージ)に深刻な反応をもたらすことを言う。T細胞は過剰もしくは不適当な免疫反応が起こることにより活性し、機能する。一旦活性するととても小さい潜在敵対者に対しても反応する。感作反応は精油そのものがもたらすものではなく、予測が難しい。また、感作反応は時間が遅れ、症状が現れるのが適用の後になることもある。感作の症状は幅広く、肌の炎症、発疹、頭痛、偏頭痛、不安感、動悸、うつ、息切れ、口の乾燥などがある。
全ての精油はアレルゲン要因となりうる。このため適用は適切な量をもって、間隔をあけたり、使用を控えたり(2-3週間の使用の後は1週間使用を中止する)、また定期的に使用する精油を変える(使用している1つを他のふさわしい精油に替える)ことが望ましく、特に日常的に長期間使用している場合は注意が必要だ。精油は肌に「直接」使用することは絶対に避けるべきだ。
毒性
毒性とは毒の強さやその物質が植物や動物の細胞や臓器といった組織にダメージを与えたり、破壊する程度をいい、例えば肝毒性、腎毒性などがある。ダメージは回復可能なものとそうでない場合がある。これは生物学的な破壊の程度と影響を受けた細胞の再生スピードとも関連する。
毒性はどれだけ精油を摂取したか、またどの方法で取り込まれたか(経皮吸収、経口摂取、吸入等)、使用期間、頻度、個人の遺伝市場の特性やその時の体調も影響する。局所的な毒性は一般的に排泄に関連する臓器が多い(胃、肝臓、腎臓、小腸、肺、皮膚)。毒性反応は精油成分が塗布されたところに現れるほか、全身に現れることもある。
一部の精油成分は毒性がない場合でも、薬の成分(毒性成分の場合が多い)や一部の食品、また、特定の酵素と結びつくことによって、毒性を持つ物質へと変質したり、体内の別の場所に移動しダメージをもたらすことがある。カンファ―とサリチル酸メチルの化合物、クローブ、シナモン、ユーカリ精油は人体に毒性の影響をもたらすことが多く報告されている。また、6歳以下の子供が精油を誤飲するケースも多く報告されている。
精油の化学物質は酸化し、劣化すると毒性を持つ場合がある。古い精油は新しく抽出され、正しく保管された精油に対し、毒性を持つことが多い。(特にパインや柑橘系)フェノールを含有する精油は香りの高いアルデヒドやテルペン系は肌に対する毒性や炎症の主要因となる。
光毒性
これは日光もしくは紫外線(日焼けマシーンのランプからのものも含む)に対する過剰反応により起こるものだ。これは特定の化学物質が皮膚の表面に現れることによっておこる(光毒性物質のフロクマリンといった成分はベルガモット、アンジェリカルートのようにいくつかの精油にみられる)。精油成分が紫外線を吸収した結果、異常に黒い色素沈殿(茶色のシミ)を起こし、周辺の皮膚の炎症や赤化することもあり、何年も跡が残ったり、治療に時間がかかる。光毒性は原因となる物質がある場合のみ発生するので、光毒性のある精油は日光にあたることや、紫外線、日焼けマシーンの光は避けるべきである。
結論
賢く、適切に使用すれば精油は非常に有益だが、正しく使われなければ逆に害を及ぼすことになる。使用の際は常にその精油の治療特性と禁忌を確認し、特に薬(処方薬もしくは市販薬)を服用していたり、医療行為を受けていたり、免疫システムに問題を抱えている場合、また幼児や高齢者には十分注意が必要だ。また使用に先立って正規の精油か、使用期間内かの確認をしてほしい(一度開封した場合、精油は12か月、柑橘系は6か月の使用期限がある)。日光を避け冷暗所に保管し、使用後はすぐに蓋をして元に戻すようにしてほしい。手指に残った精油は洗い流し、目や他の敏感な箇所に触れないように注意が必要だ。
有害な反応の事例:
https://www.allure.com/story/negative-reaction-to-essential-oils-tanning-bed
https://www.facebook.com/graetel.anderson/posts/10100850320518299
References:
- Clarke, S. (2002) Essential Chemistry for Safe Aromatherapy: Churchill Livingstone, London
- Godfrey, H. (2018) Essential Oils for Mindfulness and Meditation: Inner Traditions Bear & Company, Rochester USA
- Godfrey, H. (2018) Essential Oils: from plant to bottle (publication pending)
- Tisserand, R.; Young, R. (2014) Essential Oil Safety (2ndEd): Churchill Livingstone, London
- Tisserand, R. (2018) In defence of science, and of safety precautions: http://roberttisserand.com/2017/10/in-defense-of-science-and-of-safety-precautions/
- Aromatherapy Trade Council