アロマセラピーの先駆者

この分野に貢献した20世紀のパイオニアたちの概要

ルネ・モーリス・ガットフォセ
(1881年〜1950年)

精油の効用を全くの偶然に発見したのが化学者のルネ-モーリス・ガットフォセ。1910年7月の事、実験中に事故に遭った彼は手にひどい火傷を負ってしまい、ラベンダー精油に頼りました。そのとき彼は、ラベンダー油が痛みを緩和し、火傷の痕を治すその早さに驚かされたのでした。「アロマテラピー」という言葉は、1928年にガットフォセが執筆した本のタイトルに使われており、ガットフォセがその言葉を使い始めました。彼は精油の力は肉体を再生するだけでなく精神を癒す効能もあるだろうと思っていました。そして、精油は肌に浸透し血流に吸収され、個人の体質と相互作用するようだということを発見したのでした。時代よりいち早く、彼は精油が「完全なもの」の場合のほうが効果的でかつ安全であり、抽出されて直のものを単品として使用するのは、製薬として使用するのに適しているとの見解を持っていました。

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ダニエル・ライマン (HMIFA)

マルグリット・モーリーの第二アシスタントであったのが、ダニエル・ライマン。マルグリット・モーリーの死後、ダニエルがその仕事を引き継ぎました。アロマセラピーに関する多くの本を執筆。1980年代はじめに、自然派商品・トリートメント開発や研究した第一人者です。旅行者や航空会社クルーが悩む時差ボケや旅の疲れを阻止するための研究をした。彼女のプログラムと商品はブリティッシュ・エアウェイズを含めた15社により紹介され、BAのインフライト・エンターテイメント・プログラミングでは、ウェルビーイング・イン・ザ・エアー・エクスパートとして取り上げられています。

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ジャン・ヴァルネ博士
(1920年〜1995年)

インドシナ戦争中(1948年〜1959年)、通常の消毒薬が底をついた際、傷や壊疽を手当てするために、精油を代用し始めたフランス軍医助手(ジャン・ヴァルネ博士)。 精油は、その時代の通常の手当ての仕方よりはるかに効果的に感染を防ぐということを発見したのでした。例えば、石灰酸を使い、ひどい火傷を負った患者にそれで手当てをしたりしました。 戦後、外科医としての資格を得たのち、ヴァルネ医師は、その後も治療に精油を使い、初めて精神病の治療にも取り入れ成功したのでした。1964年、彼は発見したことを「アロマセラピーの実践」というタイトルの本にして出版しています。1980年にようやく英語にも翻訳され出版されました。ヴァルネ博士は、精油の有効成分を基に精油に潜む治療特性の潜在効果をグループ分けにし関連させアプローチしています。この本は、主に精油を医薬品治療のかわりとして使うことに焦点をあてており、目をみはる成果が記録されています。

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ロバート・ティセランド (HMIFA)

ヴァルネとガットフォセに刺激、影響を受けた英国人、1969年にセラピストとして始めたのがロバート・ティスランド。1974年にアロマセラピー商品を売り出す会社を設立し、その後1977年に初めて英語で書かれた「アロマセラピー(芳香療法の理論と実際)」というタイトルの本を執筆しました。この本は、約20年にわたり参考文献としてのちの作家に引用されてきました。さらに「精油の安全性ガイド」という、ヘルスケア専門職の参考書として影響を与えた本があります。国際アロマセラピスト連盟の創設者で名誉会員。2006年までの12年間、ロンドンにある彼自身の養成学校(ティスランド・インスティチュート)も経営。今日、彼はカリフォルニアで暮らし、今までに2名しかいないAlliance of International Aromatherapists Lifetime Achievement Awardを受賞した一人です。

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マルグリット・モーリー
(1895年〜1968年)

生化学者でありコスメトロジストであったマルグリット・モーリー。1960年代、アロマセラピーをイギリスに持ちかえりました。 リンパ・ドレナージュ・マッサージという側面も足し加えました。1940〜50年代、ガットフォセの卒業生の彼女は、精油を癒しと化粧品に利用するという自身の先駆的な研究を始めました。モーリーは美しさはその人の内面にあるバイタリティと健康から宿ると信じていました。チベット、インド、中国のヒーリングの伝統を学び、ホリスティック基礎の理解と精油のしくみとを合わせ、クライアント一人一人の体質や全身のアンバランスに合わせた彼女独自の精油ブレンドを開発していきました。さらに、彼女は、精神療法としての精油の利用も提唱し、気分を変えることや、精油を外用としてベジタブル油で薄めて塗ることを重要視し、アロマセラピー・マッサージの実践を広めていきました。

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ダニエル・ぺノエル博士

世界的に有名な医学アロマセラピストのエキスパートとしてその名を知られているダニエル・ぺノエル博士。彼は健康維持に役立つ精油のパイオニアの一人であり、1977年以来その癒し法を礎として開業。彼の熱心な指導と仕事ぶりは医療の世界では高く尊敬されています。研究を続け、医療とホリスティックの精油としての適用について本も執筆。医療アドバイザーとして、定期的に国際団体やカンファレンスに招かれ講演をしています。医療アロマセラピーの始祖であり15年以上にわたりヨーロッパ、USA、オーストラリア、日本やカナダで教えてきました。ぺノエル博士は理解と利用法を革新したQuantum Aromatherapyというアロマセラピーの新しいコンセプト・ブランドの創設者でもあります。

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ミシェリーン・アーシェ (HMIFA)
(1923年〜2006年)

1959年に美容セラピーのコンファレンスでマルグリット・モーリーと会ったことがきっかけで、アロマセラピーへの熱心な尽力に生涯時間を費すことになったのが故ミシェリーン・アーシェ。彼女はマルグリット・モーリーとジャン・ヴァルネ博士の両者の下で学びました。マダム・アーシェは、現在有名なナイツブリッジにあるお店を1981年に開店する前、植物レメディー、薬学、心理学を勉強し、イギリスでのアロマセラピーを実践した先駆者でした。1985年に創設された国際アロマセラピスト連盟から認可されたトレーニング資格者の最初のメンバーの一人です。

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ピエール・フランコム(HMIFA)

フランスにあるInternational School of Aromatherapyを創設、講演者、アロマセラピスト、ファーマコロジストであるピエール・フランコム。彼はMedical and Aromatic Plant Research Centreの責任者で35年以上の精油のスペシャリスト。精油のエネルギーというアロマセラピー治癒の違う「化学タイプ」という基礎概念をつくりました。彼自身が、ティーツリーも含め多くの精油を治癒に利用する発見になりました。

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